経済学部・学科紹介

    九州大学経済学部は、わが国でも有数の長い伝統をもち、1924年に九州帝国大学の法文学部の経済科として発足しました。法文学部から分離・独立し、経済学部として本格的に設立されたのは1949年のことです。その後、経営学科の新設(1965年)、経済工学科の新設(1977年)がなされましたが、とくに経済工学科は、工学的手法、数理的手法を使ったあらたな経済学の学問分野の発展に対応して設立されたもので、全国でもユニークな学科として知られています。また2000年の大学院重点化によって、情報処理教育をはじめ、学部教育もさらに充実したものになっています。大学院重点化とともに、経済学部は経済・経営学科と経済工学科の2学科に再編されました。2006年には大幅なカリキュラム改革により、経済・経営学科では経済分析、産業分析、企業分析の3つの系統に分け、卒業後の進路に即した多様な勉学機会を提供できるようにしました。また1年次から4年次にわたる少人数演習による綿密な指導、一部の大学院科目の学部への開放も制度化しました。ますます変化を速めつつある現代社会のなかで、経済の動向を的確に把握し、創造的な問題解決能力を持ち得る人材を養成することが目標です。

    経済・経営学科

    経済・経営学科では、経済学・経営学の基礎理論と幅広い教養、豊かな現実感覚と国際性を身につけることによって、複雑化し多様化する現代経済社会が直面する諸問題に的確に対処し、その解決策を見出していける人材を育成していきたいと考えています。この目的のために、経済・経営学科では2006年のカリキュラム改革により、従来の2コース制を廃止し、「経済分析系」・「産業分析系」・「企業分析系」の3つの系統に専門科目群を分け、多様な問題関心と卒業後の進路に即した履修体系が組めるようにしました。「経済分析系」は今日の経済社会が抱えている問題を理論的・構造的視点から把握し、それらの問題に立ち向かい、解決していく分析力・企画力・創造力をそなえた人材を育成することが目標です。「産業分析系」は激しく変化する産業社会を歴史的・実証的に分析し、将来動向を予測、的確な具体的政策を企画できる、柔軟で創造的な応用能力をもった人材を育成することを目標にしています。また、「企業分析系」は、内外に活動の場を広げている企業の活動をリードし、その抱える問題に対処していく能力を持った人材を育成することを目標にしています。本学科では、「基幹教育科目」、「基本科目」といった幅広い教養と基礎理論を身につけるための科目群のほか、各系統に次のような「選択必修科目」群が配置され、体系的な履修が可能となるように配慮されています。

    経済分析系

    経済統計、統計計量分析、地域政策、金融システム、国際金融、証券市場、世界経済、貿易投資分析、国際経済政策、開発経済、農業政策、情報経済、現代日本経済論、欧米経済史 など

    産業分析系

    産業技術、産業政策、産業配置、産業構造、日本経済史、西洋経済史 など

    企業分析系

    経営政策、経営管理、人的資源管理、日本経営論、原価計算、管理会計、企業会計、国際会計、財務会計 など
    学生の系統は必修である3・4年次の演習指導教員がどの系統に所属しているかによって決まりますが、「自由選択科目」として他系統・他学科(経済工学科)の科目を履修することができます。経済・経営学科では少人数教育である演習を重視し、全学年に演習を用意しており、特に3・4年次の演習は必修です。また大学院への進学を奨めるために、学部4年生を対象に大学院開講科目の一部を「特別専門科目」として学部に開放しています。ここで取得した単位は、大学院に進学した場合は大学院の単位として認められます。
    以上のような科目を、自己の関心に応じて体系的に履修することによって、現代社会が抱える問題を歴史的・構造的視点から分析する能力、問題を発見し解決する能力、さらには国際的に展開する企業活動に対応しうる企画・創造力を養うことができるでしょう。
    ・ 学生定員:141名

    経済工学科

    経済工学科は、理論と分析ツールおよびその応用を一体的に学び、「経済を総合的に捉えていく能力」の修得をめざす学科です。特徴の第1は、数量的なアプローチに重点を置いている点です。現代の経済は変動が大きく、しかも複雑化しており、これを解明するには新しい理論を学ぶだけでは不十分で、数量的な方法に従いつつ現実の動きと照合していくことや、情報技術の活用・工学的な手法の導入といった幅広いアプローチが有効です。そのため、スタッフも経済学だけでなく、工学、理学など、様々な分野出身の研究者がそろっています。第2に、現実経済への働きかけとしての政策がもつ意味を重視しています。理論モデルを設定し、計量的分析手法を中心に多方面にわたって検討することに加えて、課題解決へむけた創造的な思考法を身につけることに力点が置かれています。このような教育体制や内容の特徴は、「経済工学」という学科の名称が、我が国で唯一であるというところにも、よく現れています。
    経済工学科は、経済システム解析、政策分析、数理情報の3分野から構成されています。経済システム解析の分野は、問題を、マクロ経済、ミクロ経済レベルで数理、数量的手法を用いて理論、実証の両面から分析しようとするものであり、政策分析の分野は、多様な経済問題に関する政策を分析・評価するための基礎知識と手法を学び、新たな政策提言を行うという課題をもっています。数理情報の分野では、経済分析のための統計的、数学的基礎、大量の情報を管理し処理するための数学的な基礎知識と、コンピュータの基礎と応用について学びます。
    ・ 学生定員:85名
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